九州北部税理士会所属 |
事業経営承継 |
相続が発生するとまず行われるのは、通夜や葬儀ですが、これらが終わって一段落すると具体的な法律上の手続きや判断を行う事柄が発生してきます。下に示すように様々な手順が民法や相続税法などに定められており、その中でも期限内に定められた手続を行わないと不利益を被る手続きもあります。
そこで、最低限これらの期限を把握し、全体の流れを知っておくことが、相続という大きな問題をスムーズに解決して行くポイントといえます。
相続人が被相続人の財産及び債務について一切の財産を受け入れないことを「相続放棄」といい、例えば、被相続人の負の財産である債務が正の財産よりも多い場合に「相続放棄」をすることによって負担を免れることができます。この意思表示は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申術することが必要になります。
不動産所得や事業所得などの所得税の確定申告が必要な人は通常、翌年3月15日までに前年分の所得の確定申告を行いますが、個人が死亡した場合には、その年の1月1日から死亡の日までの期間の所得を相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に確定申告(準確定申告といいます)をしなければなりません。
被相続人の遺産に対して相続税がかかる場合には、相続開始を知った日から10ヶ月以内に相続人全員が相続税の申告・納税をしなければなりません。
相続税は相続人1人1人が実際に取得した財産に対して相続税が算出されるため、申告期限(10ヶ月)までに遺産分割協議が相続人間で整っていることが前提になります。
相続税を現金納付する場合には10ヶ月以内に納税しなければなりませんが、その他の納税方法の延納や物納も申告期限(10ヶ月)までに申請書を提出し許可を受けなければなりません。
民法では、法定相続人が必ず相続することができるとされている最低限の相続分(=遺留分)が保証されています。万一、遺言によって遺留分未満の財産しかもらえなかったときには、遺留分を侵した相手に対して1年以内に「遺留分の減殺(げんさい)請求」を行うことで、これを取り戻すことができます。
*遺留分の割合
通常の場合・・・・・・・・・・・遺留分は被相続人の財産の1/2
相続人が直系尊属のみの場合・・・遺留分は被相続人の財産の1/3
尚、兄弟姉妹には遺留分はありませんのでご注意下さい。